第4.3節 授業担当者によるScrapbox利用と著作権
Scrapboxにはプレゼンテーションモードがある。Scrapboxに項目を立てて書くと、プレゼンテーションのスライドのように表示する機能だ。筆者も講演等ではPowerPointやKeynoteといったスライドアプリは使わず、Scrapboxの画面をそのままiPadからスクリーンに映して用いている。なお、授業では話しながらリアルタイムに手書きで板書をしたいため、iPad ProとApple Pencilを使って、「MetaMoJi Note」や「GEMBA Note」に手書きし、その画面をそのままApple TVを介して教室のプロジェクタからスクリーンに投影する手法を併用している。
学生が毎回の授業で書くレポート類にScrapboxを使う場合、やはり授業の情報提供にもScrapboxを使う方がよい。学生が書いたレポート類から質問事項などを切り出して授業に使うにはScrapboxが最適だからである。Scrapboxを開発した増井俊之教授は、授業でもScrapboxを用いていらっしゃる〈注32〉。
授業担当者のScrapbox利用法としては、教員から学生に対する情報提供やプレゼンテーション画面の提示、そして従来紙で配布していたハンドアウト(いわゆる「レジュメ」)のIT化が主として考えられる。複数のツールで行なっていた情報提供をScrapboxに一本化すると教員の作業が効率化する。特に紙のハンドアウトを配布している教員は作業が大幅に削減され、省力化になる。Microsoft Word等のワープロソフトでレジュメを作成し、履修者の人数分印刷し、運搬して配布する労力と資源の無駄がScrapboxによって削減されるのだ。ScrapboxはWordよりも簡便なので作業効率が高まるはずである。学生はScrapboxの画面を手元のスマホ、iPad、あるいはMacやPCで閲覧すればいい。
その方法はやはり2通りある。Private Projectを使う方法とPublic Projectを使う方法だ。
1. 授業用のScrapboxプロジェクトを作成して、従来スライドとして提示していたような内容やレジュメとして配布していた内容を書く。レジュメに関しては新たに作成するほか、Wordなどのワープロソフトで過去に作成したデータをコピーしてScrapboxにペーストしてもよい。
2. Public Projectの場合はそのURLを、Private Projectの場合はその招待URLを、授業用のポータルサイトなどに掲載する。またはURLをQRコードにしてスクリーンに映し、学生たちのスマートフォンで読み取ってもらう。大学がポータルサイトを用意していない場合は、メイル等で学生たちに直接送付したり、Mac/iPhone/iPadであればAirDropによる送付も可能。一定期間が過ぎたら招待URLをリセットすれば安全だ。
3. Public Projectの場合、学生がそのURLにアクセスすれば内容を閲覧できる。Private Projectの場合、学生が招待URLにアクセスすればそのScrapboxプロジェクトの閲覧と編集が可能になる。
4. 学生は、その日の授業用Scrapboxページを参照しながら授業に参加する。穴埋め書き込み型のレジュメの場合は、教員が従来の紙によるレジュメと同内容をScrapboxに作成し、学生が授業の際にそのページをコピーして自分のScrapboxプロジェクトにペーストし、穴埋め作業をしながら授業に参加すればいい。
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